中原中也がダメ人間すぎる件。

 ちょっと前、プライベートな私生活をテーマにした偉人のドキュメンタリー番組を見ていたら、中原中也が想像を超える「ダメ人間」でちょっと笑ってしまった。中原中也って。こんなやつだったの!?セピア調の肖像から雰囲気的に「朴訥な詩人」みたいなイメージがあったけど、フタを開けてみたら、なんてことない。ただの穀潰しニートだったらしい。僕は中原中也の詩が、よくわからない男だ。それ以前に「詩」という芸術がいまひとつ理解できない人間なんだけど、中原中也の人生は、なんか魂の混血児のような、なんか、とにかくブラザー感が、スゴかったのである。まず20代の頃から、死没するまでずっと「無職」ってのもすごいのだが、しかも、その生活の大半を親の「仕送り」で暮らしてきたという経歴が、まずヤバイ。「お前働けよ」と親が言ってきても、全く働こうとしない。「お父さん安心してください」「僕は天才ですから」と意味のわからない返答をする。もうこの時点で両親としては絶望したくなるレベルだが、私生活も、ものすごいダメ。起きる時間は大体「昼の2時」という、このニートまるだしな起床時間。そして起きたら、酒飲んだり、街を徘徊しては、とにかく酒ばかり飲んでいるダメ男。(たまに酔った勢いで町の公共物を壊す) 親から「働け」と怒鳴られても絶対に働かない。何もしようとしない。「私に意義ある仕事を教えてくれる人はいないか」と、こんな感じに何故か他力本願。20代の時、遊び呆けていたので大学をのちに退学になるのだが、当たり前のように親には「だんまり」を決め込んでいたらしい。

 たまに自分の書いた散文を編集部に持ち込みに行くと「雑誌の編集者どもが、ひどく俺を理解したような顔をする」(P239)と、なぜか編集者を見下す。この謎の上から目線。
 なんか、この時期に、本を6000冊ぐらい読んでいたらしい。すげーなと同時に、それを陰で支えた「母」(フク)のすごさを感じる。息子が「仕送り魔」に変貌を遂げたことに心配した母が、息子の仕送りを断ると「あの子は将来有望です。仕送りしてあげなさい」と嘘の手紙を送りつけ偽名で仕送りを催促する中原中也。この華麗な「仕送り戦術」。メイドが欲しいと要求したり、最後には、自分の本の出版費用まで要求してお金をぶん捕っていたらしい。そんな母の気持ちを汲み取ったのか、さすがに中原中也も「申し訳ない」と思ったのか。この発言には、さすがに親への愛を感じ涙した。
 親は唯一、金を送ってくれるのみ必要なものだと思っている。(P40)
 まさにレジェンド発言である。すごすぎる。あまりにも鉄面皮な無職だ。
 「母」というセーフティネットを見事に利用しながら「親への感謝の気持ちゼロ」という。このダメの真髄を極めた中原中也

 なんと結婚して子供が生まれても仕送りで暮らし続けたらしい。

 仕送りの巨人。中原中也。生前は詩だけでは食えてなかった中原中也だが、中原中也の選択は、これからの売れないクリエイターに夢を与えてくるかもしれない。