本を1300冊読んだので、お気に入りの5冊を紹介する。

 本を読まない。そういう大学生がいま増えているらしい。

 面白い本を紹介するブログを5年やってきたが、この「本離れ」現象をどう見よう。非常に嘆かわしい。というより死活問題だ。「面白い本を探す」ことに命を燃やしながら20代の青春を過ごした僕は、ものごころついた時から、ずっと本が大好きだった。これまで読んだ本は1300ほどに昇る。「1億2986万冊」のあると言われている世界では、まだまだ遠い道のりである。でも、べつにもともと本が好きってわけじゃなかったんだよね。10代の頃なんか、活字を見るのすら嫌な人間だった。それが、ある時期から、他人と接する機会がまったくなくなり、人と関わらない生活を送り始めたのが、本好きになった最大の要因である。ブログの更新が最近めっきり減っているのも、ブログを書くより本を読んでいるのが好きだからだ。本は面白い。でも若者に無理に本をススメるつもりはない。読むのなら積極的に面白い本を読んでいくに勝る読書はないと思うんだよね。

 じゃあ面白い本ってどこにあるの?。と。本が多すぎて途方に暮れる。そういう人は多い。本の山に挫折する人は多い。僕もそうだった。そういう時に「岩波文庫 解説目録」である。講談社とか、ちくまー文庫とか、あのへんの解説目録を読みあさり「世の中のことが知りたい!」という好奇心が強くなる。知的好奇心が湧いてくる。そういう時に次の教養の段階として更にオススメしたいのが、倫理の教科書である。

 

 

 倫理の教科書はオススメである。何がいいって、「もう手に負えねぇ」と言いたくなるような哲学・宗教・歴史の壮大なボリュームの歴史が「ざっくり」と分かるようなつくりになってるんだよね。人間の歴史の大まかな流れを「ざっくり」頭に入れたいやつは倫理の教科書を読め。というぐらい教養の必読書。たくさん読んだけど、僕のオススメは「現代の倫理」山川出版社です。これが一番、わかりやすい。「教養が欲しい」「歴史が知りたい」という人には、ぜひ読んでもて欲しい。
 精神的なものに興味があるという人は、ものぐさ精神分析も読むといいよ。

 

ものぐさ精神分析 (中公文庫)

ものぐさ精神分析 (中公文庫)

 

 
 なんで人間は子供を虐待するんだろう? そういう素朴な疑問にこの本は「人間は本能が壊れてるから」って答えるわけ。本能に「生きるノウハウ」が組み込まれてるのが動物だけど、人間は「ああしなさい」「こうしなさい」と言葉で説明せな子育てもできない。だから子孫に生きるノウハウを教えなきゃならない。そこで「言葉」が生まれた。文化が生まれた。ダメ押しで「結婚制度」を発明し、それでも無償では子供を育つ気がわからないから、人間は、最後に「親孝行」という価値観を発明した。とか書かれてあってさ。「えええ!」ってひっくり返ることばかり書かれてあって、ものぐさ精神分析を読んでから僕は「世を悟ったような」気分になり、冷たく心を閉ざして、更に、モテなくなった。そういう意味でも今も忘れられない衝撃的な一冊である。
 目からウロコといえば、「第三の波」アルビン・トフラーアメリカの学者さんが書いた本なんですけど、目からウロコとはこのことか、と唸りたくなる名著だった。

 

第三の波 (中公文庫 M 178-3)

第三の波 (中公文庫 M 178-3)

 

 
 ようはなんで人間は自給自足をやめたのか、というテーマの本なんですけどね。
 「腹減ったな」って思ったら自分で作ったりとったりしてたのよね。むかしは。ところが分業が始まって、パン屋とか、ケーキ屋とか、みんなバラバラになったでしょう。そしたらどうなるか、というと、みんな「自活する能力を失った」というわけ。自活能力を失うと、欲しいもんは市場にたよざらる負えない、プリン食べたいと思ったらコンビニでプリンを買わなくちゃいけない。農民でさえ自給自足できない。あらゆる人が、他人のつくったものに完全に依存するようになった。そうやって人間同士を「依存状態」にすることで、市場は王様になった。市場が決めた価値観に人間がどんどん支配されてしまったと言ってるんですね。市場が発する価値観ってのは、つまり「お金にならないものは価値がない」という価値観ですよ。こういう価値観に人間がコントロールされるようになったと。そういうことをいうてる本なんです。
 そんなこと考えたこともなかったからさ読んだときグラっと世界観が変わる、というか、とにかく今まで何も考えずにボンヤリしてた社会への見方が変わる、すごいインパクトのある本だった。この本が書かれたのは、1980年なんだけど、パソコンがない時代に、ツイッターとか、フェイスブックも言い当ててるのがすごい。「人間のコミュニケーションはいずれ、メッセージの送り手に直接反応したり、受け手と送り手が相互に反応するようになるだろう」とか。こういう予見は、身の毛もよだつほど革新的。
 とにかく人類の英知が詰まった本で「第三の波」は思考レベルが高くなる一冊だった。

 

喪男の哲学史 (現代新書ピース)

喪男の哲学史 (現代新書ピース)

 

 

 これもいいですよお。世界中の知見を広めてきた賢者は「みんなモテないキモ男」だったんじゃないか。という素朴なアイデアから始まる壮大なスケールの哲学入門書。とにかく物量がすごいです。中古で300円そこらで新書30冊分ぐらいの知識が詰まっています。コスパ度が高い。という意味においてこの本を超えるものは見たことがありません。おすすめです。

 

 
 最後は、僕の色んな読書の中での最高傑作。マーク・トゥエイン「人間とは何か」です。

 

人間とは何か (岩波文庫)

人間とは何か (岩波文庫)

 

 


 10歳の頃に読んだけど。この本は本当に衝撃的な本でしたね。

 何を言っているかというと、マークトウェインが「人間の行動はすべて自己中心的だ」って言っている本なんです。人になにかしてあげたときに、人間ってつい、これだけしてあげたんだからとか、って思いがちだけど、マークトウェインは、そうじゃないと。自己中心的なんだから、これだけしてあげたのに、何も返してくれないとか見返りを求めたがる思考は大馬鹿者だ。って言ってる本なんですね。

 これは考え方が引っくりかえった。というか、いまも僕の行動指標というか心に刻んでいる。そのぐらい影響を受けた一冊です。
 おすすめって言ったけど、これ、ただたんに好きな本列挙しただけなんだけね。
 作家の中村文則さんがテレビで「本を大量に読むとアタマに「変な海」が出来上がる」と言っていたが、確かに本を大量に読むと「変な海」ができる。この「変な海」によって感性が非マス化(脱画一化)され社会から脱線しかけるときもある。だから本を読む行為は、そんなに推奨できる行為じゃないと思っている。あたえられた環境に何も思考せず反応している人のほうが社会に適応していきますからね。本を大量に読む人間は、それだけで落伍者になる可能性を秘めている。

 ここにあげた何冊かの本はそういう落伍者向けの推薦図書である。社会が楽しくない。なにかこの捉えがたい社会の違和感を言語化したい。というモヤモヤに囚われた人には、この「現代の倫理 山川出版社」「ものぐさ精神分析」「第三の波」「喪男の哲学史」「人間とは何か」は本当におすすめ。これまでの読書人生の中でも最高峰の5冊です。